24 Season
328 Episode
テレメンタリー - Season 13 Episode 45 「語りは美し」～文楽太夫めざす中学生～
昨年、人形浄瑠璃・文楽は世界無形遺産に宣言された。太夫・三味線・人形の３つが溶け合って人間の情の世界を表現する、繊細で幽玄な芸術が認められた形だ。江戸時代に大衆文化として大阪で産声を上げた文楽は、今ではどことなく敷居の高いものと感じられている。そんな大人でも敬遠しがちな古典芸能の世界に、２年前、中学生が飛び込んだ。藤田龍平１３歳、いま中学３年生。かつて小学校６年生の総合学習で文楽と出会い、朗々かつ切々と、力強い“語り”で舞台を引っ張る太夫の役回りに夢中になったという。２００２年１２月１日、中学生になった彼はついに「弟子になりたい」と豊竹咲大夫の門を叩いた。入門が認められ、豊竹咲寿大夫の名前をもらった。父は会社員、母はピアノ教室の先生。いわば普通の家庭からの太夫の誕生は戦後初めてのことだという。師匠じきじきの口移しの稽古に、楽屋でのこまごまとした手伝い。学業と太夫という“二足のわらじ”を履きながらの生活だが、それに誇りを持ち、両親の心配をよそに将来を見据え、着実に歩み始めている。具体的な夢もなく、なんとなく生きている若者が多い中、自分の生きる道を自分で選らんだ中学生のひたむきな姿を追った。
- Year: 2021
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