
剥き出しにっぽん
石井裕也監督が大阪芸術大学の卒業制作として手掛け、日本最大の自主制作映画のコンペティション「PFFアワード」で2007年のグランプリに輝いた長編第1作。欠点を抱えながらもどこか憎めない人々の営みが、時にパワフルに、時にもの悲しく描かれる。シニカルなようで、家族の再生を描いた人間賛歌とも思える独特の味わいを残す。 何をやっても思うようにいかず、情緒不安定な青年・太郎。高校を卒業したが進路未定の彼は、自給自足の生活をするため郊外に畑の付いた格安の一軒家を借りる。その勢いで、以前から想いを伝えられずにいた洋子を共同生活に誘うと、意外にも彼女はあっさりと話に乗ってきた。ところが引っ越し当日、リストラによる失職で家に居づらくなった父親までついてくることに。ぼろぼろの一軒家で畑仕事をしながら暮らし始める3人だが……。