
敗れざるもの
原作小説「小さき闘い」は、「太陽の季節」「狂った果実」と同じく、裕ちゃんの実兄である石原慎太郎の筆によるもの。脳腫瘍に冒された中学生の少年と彼の家庭に雇われた専属運転手の交流を描くヒューマン・ドラマ。当時大ヒットした「太平洋ひとりぼっち」に続いて、裕ちゃんが等身大の役柄に挑んだ注目作。当時はまだ子役だった小倉一郎が共演し少年役で共演。監督は「二人の世界」の松尾昭典。芸術祭参加作品。 高村家の専属運転手、鉄哉は同家の子息、俊夫の体の調子がおかしいことに気づく。医師の診断によれば、俊夫は脳腫瘍にかかっていた。俊夫を気づかうあまり、思わず医師に食ってかかる鉄哉。やがて長時間に及ぶ手術が行なわれ、腫瘍はすべて切除できたわけではないが、俊夫はとりあえず退院できることに。実は鉄哉には同家に来る前、ダム工事の現場で働いた当時に暗い過去があり、それゆえに命の大切さを痛感してきた……。